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2021.08.25

GOLPIE COFFEE 河合佑哉さん インタビュー

GOLPIE COFFEE 河合さんインタビュー

今回、ご登場いただく河合佑哉さんは、地元、名古屋のコーヒー通から絶大なる信頼を集めるスペシャルティコーヒー専門店「GOLPIE COFFEE」のオーナー焙煎士。国際的なコーヒー品評会「Cup Of Excellence」の数少ない日本人審査員としての資格も持ち、できる限りスペシャルティコーヒーの産地に足を運び、自身の審美眼でコーヒーを選ぶというスタイルでコーヒーを焙煎してきた。数々の世界最高峰のコーヒー豆を知り尽くした河合さんも、自宅ではコーヒーメーカーをよく使うそう。これまでのコーヒーメーカーとファウンテンコーヒーメーカーの違い、そして、ファウンテンコーヒーメーカーにぴったりと合うコーヒーについて伺った。

これまでになかったユニークさが魅力
唯一無二の抽出方法「ファウンテンドリップ」

スペシャルティコーヒーだからハンドドリップで淹れなければならない、という考えは自分にはありません。実際に、私自身も自宅ではコーヒーメーカーを使っています。5―6年前のコーヒーメーカーにはパッキン部分の樹脂から嫌な匂いがして、それがコーヒーに影響してしまうようなものもありました。しかし、最近販売されているコーヒーメーカーはどれも本当によくできていると感心します。
優れたコーヒーメーカーが次々と発売される中で、このファウンテンコーヒーメーカーを見た時に感じたのは、「唯一無二」という点。これまで売られているコーヒーメーカーを見ると、デザインは違っても構造は同じというものが多いですが、このスピンシステムを使ったファウンテンドリップ構造はとてもユニーク。加えて温度設定が細かくできたり、コールドブリューの機能もあったりと進化した機能も搭載。色々なコーヒーを淹れて何度も実験してみましたが、どのコーヒーを使っても、とてもおいしくコーヒーが淹れられました。噴水のようにドリップする様子は見て楽しみながら「新生活を始める時――例えば1人暮らしをする、家族が増えたり、オフィスを開設する――そんな時にこれをもらったら嬉しいなぁ」と率直に感じました。

コスタリカの名門マイクロミル
「モンテコペイ」のコーヒーとは?

GOLPIE COFFEE 河合さんインタビュー

9月に提案するコーヒーはコスタリカの「モンテコペイ」というマイクロミルで生産処理されたコーヒーです(上記写真は河合さんがモンテコペイを来訪した時のもの)。このマイクロミルというのは、収穫したばかりのコーヒーチェリーの皮を剥きとり、乾燥させて、コーヒーを「生豆(グリーンビーンズ)」という状態にする小規模工房のこと。どんなに素晴らしい農園で育った一級品のコーヒーも、この工程で失敗したら使い物になりません。それくらいコーヒーの精製というのは、とても大事なプロセスです。コスタリカには素晴らしい小規模農園をいくつかまとめるマイクロミルが多数存在します。その中でも「モンテコペイ」は、Cup Of Excellence で優勝経験もあるコーヒー業界では知らない人がいないほど有名なマイクロミル。今回はこのモンテコペイで作られたコーヒーを深めに焙煎しました。
最近の流行は「上質のシングルオリジンコーヒーは浅く焙煎する」という方法が主流ですが、上質のシングルオリジンコーヒーを深めにしても良い味が出ます。それはコーヒーのほろ苦さの裏に秘めたまろやかな甘味だったり、ちょっぴり残るフルーティな風味だったり。この上質なコーヒー豆を「あえて」深煎りにした時にしか出せない味や風味は、このファウンテンコーヒーメーカーで淹れると見事に生かすことができました。

ファウンテンコーヒーメーカーだから引き出せる
深煎りコーヒーの秘めた味と風味。その理由は?

なぜこの深煎りのコーヒーの魅力をファウンテンコーヒーメーカーであますことなく引き出せるのか、大きくわけて2つの理由があると考えます。

GOLPIE COFFEE 河合さんインタビュー

まず金属のフィルターを使っていることで、「コーヒーオイル」が多く含まれたコーヒーに仕上がります。このオイルには、コーヒーの香気成分、つまり「香りの素」がギュっと凝縮していて、コーヒーならではの芳ばしい香りはこのオイルから漂ってくるのです。加えてまろやかな「とろっとした甘味」も、このオイルに由来します。ペーパーフィルターで淹れたコーヒーでは、この油分の多くがペーパーに吸収されてしまいます。さっぱりとした軽い味に仕上がる反面、コーヒーに抽出されるオイルが少なくなることから、香りやまろやかさも減ってしまう。その点、この金属フィルターであれば、コーヒーの液体にほどよい油分が抽出されて良い感じに仕上がります。

二つ目の理由は温度と時間の調整がボタンひとつで簡単にできること。コーヒーをおいしく淹れるためには抽出時間と温度の設定も大切です。ハンドドリップだと時間と温度を揃えるのは簡単ではありませんが、ファウンテンコーヒーメーカーでは、この2つを完璧にコントロールすることができます。
今回はさまざまな時間と温度設定を試したなかで、私が一番おいしいと感じた2つのレシピを皆様にご提案します。

GOLPIE COFFEE 河合さんインタビュー

90度では透明感のあるフルーティさ
75度ではとろっとした甘味が引き出せる

より爽やかな風味がお好みの方には90度で2分がおすすめです。グレープフルーツやぶどうの皮のような爽やかな苦味が感じられます。よりスッキリとした余韻をお楽しみいただけます。
一方で、とろっとした甘みとほどよい苦味がお望みであれば75度で3分の抽出を試してください。バターとはちみつをたっぷりのせた朝のトーストや甘いチョコレートケーキとも相性のよいコーヒーが淹れられます。9月はまだまだ暑い日もあるので、その日の気温によって抽出温度を決めるのも良い方法かもしれません。

もっと気軽に、簡単に。
毎日のコーヒーを楽しむために

コーヒーを淹れる、というのは何も特別な技術が必要ではありません。コーヒー屋さんは正しい情報とか正確な技術を伝えたがるものですが、上質な豆を使って、それにふさわしい焙煎を加えたおいしいコーヒーを選べば、全自動のコーヒーメーカーであっても確実においしいコーヒーが淹れられます。もっと気軽に、そして簡単にコーヒーを飲むのであれば、ファウンテンコーヒーメーカーのような上質なコーヒーメーカーに抽出を任せてしまうのがいいと思います。肩に力をいれないスタイルで、毎日コーヒーを多くの方に楽しんでほしい、そう思いながら、日々焙煎に取り組んでいます。

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