COLUMN
2021.06.17
スペシャルティコーヒーがスペシャルな理由
最近、よく耳にする「スペシャルティコーヒー」。
なぜコーヒーにスペシャルという冠がついているのでしょう?
今回はその素朴な疑問から、スペシャルティコーヒーの育つ環境についてお話しします。
スペシャルティコーヒーは、なぜ「スペシャル」なの?
以前もお話しましたが、コーヒーは「コーヒーノキ」に実る果実の種子の部分です。コーヒーノキに分類される仲間は70種類くらいあると言われていますが、コーヒーとして飲むことのできる実をつける種類は大きく分けて3つ。
①アラビカ種
②ロブスタ(カフォネーラ)種
③リベリカ種
アラビカ種は15-17世紀に飲用が始まった最初のコーヒーであり、スラープがお届けしているスペシャルティコーヒーのほとんどすべてがアラビカ種です。エチオピア高原が原産で、栽培地の標高は1300-2000m、気温が低めの涼しい気候の地域での栽培に適しています。いわゆる避暑地のような気候です。しかしアラビカ種は病虫害に弱く、これまで何度も大きな被害を受けてきました。
一方でロブスタ種は、比較的歴史の浅い品種です。アフリカ、ヴィクトリア湖の西で発見され、出回るようになったのは20世紀以降。病虫害に強くインドネシア、ベトナム、インド、ブラジルなどで栽培されてきました。栽培地の標高がは500m以下の低地でも十分に育ち、高温多雨の環境でも問題ありません。アラビカ種に比べるとタフな品種です。ただし、出来上がったコーヒーは苦味が強く、酸味や香りが少ないので、インスタントコーヒーの原料になったり、エスプレッソ用のコーヒーにブレンドされます。
またリベリカ種はコーヒー生産量の1〜2%にすぎないので、今回は省略します。
コーヒーの育つエリアはベルト状
これら「コーヒーノキ」は概して熱帯の植物です。主な栽培地域は、赤道を中心とした南緯25度と北緯25度の間にエリア。地球をグルリと一周することから、このエリアをコーヒーベルトと呼んでいます。では、このエリアであれば、どこでもスペシャルティコーヒー用のコーヒーが栽培できるのかといえば、答えはNO.
スペシャルティコーヒーの原料となるアラビカ種が育つのは、標高約1300m以上の高地が基本。だから、このコーヒーベルトに、標高の要素も重ねなければならないのです。また、その土地固有の気象条件、山風、海風や土壌の質などを加えていくと、コーヒーが栽培できる場所は、さらに限定されてしまうのが現実です。
コーヒーのマーケットは日に日に大きくなり、今やコーヒーは水の次に多く飲まれている飲み物、そして石油に次ぐ世界第二の取引高のある商品と言われています。ですが、スペシャルティコーヒーは、生産地域が限られた数量の限られたもの。このような違いが、スペシャルティコーヒーを「スペシャルなもの」にしていることががおわかりいただければ幸いです。