神奈川県平塚市で「いつか珈琲屋」のオーナー兼焙煎家である近藤啓さんは、2016年のJapan Coffee Roasting Championshipで初出場にして優勝、そして翌年のWorld Coffee Roasting Championship でも7位入賞した実力をもつ。お店は最寄り駅から車で15分という場所にあるにもかからず、ひっきりなしにお客様がコーヒーを買いに訪れる。そんな彼らのお目当てはスタッフの心温まるパーソナルなおもてなし。ひとりひとりにコーヒーについて詳しく説明をし、心を込めて試飲用のコーヒーを淹れるーーそれが「いつか珈琲屋」のスタイルだ。

初めてファウンテンコーヒーを見た時に、なんて楽しいコーヒーメーカーなのだろう！とワクワクしたと言う近藤さんに、ファウンテンコーヒーメーカーの魅力と、8月のコーヒーについて尋ねてみた。

噴水ドリップを見ているだけ気分が盛り上がる
コーヒーができる5分間はまるでショウタイム

抽出スタイルがユニークで、視覚効果の高いコーヒーメーカーだと最初に感じました。通常のコーヒーメーカーは淹れているところを見ることができませんが、このコーヒーメーカーは、初めは透明だった水が、噴水ドリップを繰り返すことで少しづつ濃いコーヒー色になってゆき、香りもふんわりと立ち上がってくる。まるでコーヒーのショータイムのようです。
ファウンテンコーヒーメーカーを使うシーンとして、特におすすめなのは、お友達が家に来た時ですね。人のためにコーヒーを淹れる時、ハンドドリップだとコーヒーを淹れることに集中しなければならないし、おかわりを作るのも結構面倒なものです。でもファウンテンコーヒーメーカーがあればコーヒーと水を入れて、抽出時間と温度を設定するだけで、あっという間にコーヒーができてしまう。テーブルの上に置いておけば、コーヒーを話題にしながら出来上がるプロセスを眺めることもできる。人が集まる時には、コーヒーを淹れる作業をファウンテンコーヒーメーカーにお任せするのがいいな、と思いました。

「グビグビ」といくらでも飲めてしまう
ホットでもコールドでも親しみやすい味

今回、ファウンテンコーヒーメーカーのために選んだコーヒー「Top of Japan（トップオブジャパン）」は、2016年にJapan Coffee Roasting Championship での優勝を記念して作ったオリジナルブレンド。優勝した時の味のコンセプトをもとに、味やフレーバー、香りなどを再現しています。コーヒーチェリーがもつフルーティな味わいと軽やかでやわらかい飲み心地のバランスがよいのが特徴です。
ファウンテンコーヒーメーカーを使って色々なコーヒーを試す中で、ホットコーヒー機能でもコールドブリュー機能でも、どちらも一番、おいしく淹れられるコーヒーはこれだと感じました。特に8月の日本は冷たいコーヒーがひときわおいしく感じる季節です。このコーヒーメーカーの「コールド機能」を使って淹れてみたところ、スッキリと爽やかなのにTop of Japanの個性である「やわらかさ」がきちんと表現できているところに驚きました。正直「グビグビ」といくらでも飲めてしまうほどのおいしさです。
これはユニークな循環式の抽出方法によるものと同時に、金属フィルタによるものだと考えます。ペーパーフィルターを使ってコーヒーを淹れると、コーヒー豆に含まれるオイル分がペーパーに吸収されてしまいますが、この金属フィルターを使うことでほどよいオイル分がコーヒーの中に溶け込むようになっています。口当たりがやわらかなマイルドな味に仕上がるのは、そんなところに理由があるのではないでしょうか。

90度ではベリー、75度では梨と青リンゴの風味
温度を変えて2つの風味を楽しむ

ROKUMEI COFFEE CO. 抽出温度は90℃と75℃で試してみてください。90℃ではベリー系のフレーバーが強く感じられますが、75℃のレシピでは梨や青りんごといったフレーバーや甘さが引き立ちます。温度を変えることで、2つの風味が味わえるのはファウンテンコーヒーメーカーの楽しい機能のひとつですね。
またぜひトライしていただきたいのは、ミルク入りのコーヒー。その場合は抽出時間と温度はそのままに、水の量を2/3~1/2くらいに減らしてください。リッチな濃いコーヒーとミルクのまろやかさ、この相性は抜群です。コーヒーの苦味が苦手という方にも、きっと喜んでいただけると思います。

抽出温度と時間の設定を変えて
コーヒーを自由自在に楽しんでほしい

もちろん、私が提案させていただくレシピを一度試していただければ嬉しいですが、もう一歩、踏み込んだファウンテンコーヒーメーカーの楽しみ方は、自分自身の黄金レシピを見つけることです。
このコーヒーメーカーの優れているところは、抽出温度や時間を細かく設定できるところ。例えば、抽出温度を5度上げ、抽出時間を1分長くしたらコーヒーの味はどんな風に変化するのだろう？　そんな好奇心を持って、時間のある時に色々と試してみるのが良いと思います。私のレシピを軸にして自分好みの設定を見つける、ファウンテンコーヒーメーカーの上級者におすすめしたいと思います。